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北秋田市在住の鍼灸師。治療のこと、田舎暮らしのことなど書いています。コロナ自粛のため東京治療室は閉鎖中。https://www.kurumi-room.com


by satomi117h
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鈴転がし系…

朝、起き抜けにテレビのスイッチを入れたら『いつみても波乱万丈』、
ゲストは藤田弓子さんだった。

藤田弓子さんというと、息の長い女優さんという印象以外に
ナレーションでもご活躍の方ねっていう認識。
鈴を転がすような声…っていう表現がありましたっけ?
そんなカンジ。

私の中では、同じテイストのナレーションをする人に
宮崎美子さんがいる。

普通のせりふはそうでもないのに、ナレーションになると、
ぴぴっと、『鈴転がし系』モードにはまり込む。
女優さんなのに、何故に今更その表現??
ナレーションというものをどんな風にとらえているのだろうか。
ディレクターは、何を思ってキャスティングするのだろうか?
そんな疑問がいつも心をめぐっていた。

あのタイプの声を耳にすると、私の中の時間軸は、一気に昭和にさかのぼる。
昭和の古き良き時代。
よく言えばそうだけど、ある種、鋳型的な表現の時代を思い出す。

その時代に女子アナを経験した者は、
一部の中央の局を除き、
概ね『鈴転がし系』が一つのお手本で、
そこに向かって画一的に教育されていたような気がする。

ちょうど、DJに代ってパーソナリティーという言葉が出始めた頃、
個性的な喋りや表現のタレントさんがもてはやされる一方で
局アナは、地方に行けば行くほど『鈴転がし系』

新人研修で、
『女子アナは、パーソナリティーにはなりえない!』と
当時のアナウンス部長に言われましたもの。
今でもこのひと言だけは、強烈に印象に残っている。
どーせ、個性的な人間ではないけど、なんかひんやりした違和感を持った事を思い出す。

フリーになってからは、この『鈴転がし系』から
いかに脱却し、自分の声で喋るかが最大のテーマだったと思う。
私もこれで、ものすごいスランプに陥った経験がある。

同年代の同業者と表現について話す時、
ある時期、この点が最大のテーマだった気がする。

最近の若者は、ちゃんと最初から自分の声を持っていると思う。
表現力に差はあるけど、変に作らず等身大の自分の声を受け入れている。

かくして、プロのナレーションの世界において『鈴転がし系は』主流じゃなくなったのに
なぜ、女優さんのナレーションに『鈴転がし系』が残ったのか!?
藤田弓子、宮崎美子両ナレーションを聞くたびに不思議でしょうがなかった。

はやり、ナレーションの味?う~ん何味?
バックグラウンドに感じられる有名女優さんの存在感?
ディレクターは何を思ってキャスティングする???
ギャラは、へたすりゃ2ケタ違いなのに、その価値は????

今日の『波乱万丈』で、その一端が少しわかった気がした。

藤田弓子さんは、子供の頃、ラジオ番組で吉永小百合さんと共演したときに
小百合さんは、全ての面でオーラがあって、自分は足元にも及ばないと思ったけど
声だけは、勝った!と思ったそう。
文学座に入ったときも、『声が宝物』と言われたそう。

確か、宮崎美子さんも、学生時代はアナ研で鳴らしたときいた気がする。

いい声!といわれた時で表現の時間が止まっているのかも。
彼女たちはきっと、声もそれを駆使しての表現にも、一度も疑問を持ったことがないのかもしれない。
これが自分のよさなのよと、どっしりそこにい続けることができたのかもしれない。
疑問を持たないことに、人は堂々と対峙できる。
『鈴転がし系』は、私にとっては昭和の鋳型だけど、
新しい時代では、彼女たちの強烈な個性となって受け入れられる…のか…。

わたし的には、こんな風に納得した。

私たち普通の表現者は、知名度がない分、必死で今を模索する。
受け入れる、受け入れないは、聴く人が決める。
自分が感じる今を表現することも、普遍なものを表現することも
どちらもありだと思う。

私の場合は、あ、鋳型にはまってる…と思うと
ぶち壊したくなるタイプかな。
といっても、それほど変化が表に出ないのが、表現力不足を露呈しているけど…。
その分、違う分野に首突っ込みました(笑)


『波乱万丈』で面白かったのが、
ナレーションが、来宮良子さんだったこと。
多くの表現者が、昭和の『鈴転がし系』の呪縛から解き放たれるきっかけを作った人といえるかもしれない。
その人と、鈴転がし系を留める人とのコラボ。
4chは、結構こういう面白い事をしてくれる。
Commented by mihotodoroki at 2007-06-02 13:33
satomiさん、
風邪、なおりましたか?
「鈴ころがし系」の人昔いっぱいいましたよね。
20年前はそうじゃない人はむりやり矯正されるような教育だった。
あれはナンだったんでしょうねっ!?

私自身は京都に来て、毎日子ども相手に声をはりあげる日々を送っているうちに、すごくナチュラルに声が出せるようになった気がしています。
今のがいいと思うんだけど、前のようなペースでは仕事できない環境…人生こんなもんかなあ。

Commented by satomi117h at 2007-06-03 12:11
時代は、ホントに動いているんだなぁって思います。
ここ十年、私はちょっと違ったとこ行ってたので
今、空白をつなぎ合わせる作業です。
その空白に、身体で学んだ事を織りこめたらいいかなぁと。

私も今の自分の表現が好きですよ。
仕事をするっていう感覚もちょっと違ってきたかな。
自分が納得することが一番(笑)

そんなこんな、またゆっくり話しましょ!

by satomi117h | 2007-05-27 16:07 | 声のお仕事 | Comments(2)