痙攣性発声障害の治療についてⅣ
2013年 01月 19日
当治療室で行っている痙攣性発声障害の治療についてご紹介しています。
今日は、
④内喉頭筋、外喉頭筋の促通について
内喉頭筋は、喉頭(声帯を容れているところ)の内側の筋肉で、
声帯を開く、閉じる。
裏声を作る、地声を作る(音の高低を作る)などの働きをします。
外喉頭筋は、喉頭の外側の筋肉で、
喉頭(喉仏と考えてもいいと思います)を上へ引き上げたり、下へ引き下げたりして、
音の高低を作る。
共鳴腔を変化させて、喉をつめた声、開いた声を作るなどの働きをします。
SDのタイプは、『内転性』『外転性』とその混合型に分類されているので、閉鎖筋、もしくは開大筋の過緊張は、SDの最大の特徴であると思いますが、
実際の患者さんの発声を聴いたり、また私自身の体験から、
喉頭の動きや地声・裏声の使い方にも偏りがあると感じます。
クラニオ・セイクラルワーク(頭蓋仙骨療法)の時も少し触れましたが、
私の場合は、喉頭が引き下げられた位置で固まっていることに気付き、一時期は指で喉頭を支えて発声したりしました。
声が響かずスカスカした発声に悩まされていた時だったので、もしかしたら喉頭を指で支えることで
閉鎖筋が働きやすい状態を作っていたのかもしれません。
また、喉頭周りの神経の促通を目的としてボイストレーニングを始めた時に、
地声と裏声がうまくつなげずに、クッと詰まった時の感覚や、
地声をうまく長音で出せずに、ブレーキとアクセルが同時にかかるように、ガ、ガ、ガ、ガと震える音が出たりする感覚は、症状のひどい時の感覚とよく似ていたので、
状態を再現して、悪い感覚を一つづつ潰していく意味で、このトレーニングはとても有効でした。
このトレーニングプラス身体の使い方のイメージトレーニングが、いい状態を再現できる回数を増やしていきました。
ということで、次回は、『伸筋で声を出す』です。
ところで、今回の④で、正直言ってとても気になっていることが一つあります。
それは、お問い合わせいただいたSDの患者さんを含め、患者さんに声楽家の方が何人かいらっしゃいます。
そういう方は、たぶんこのようなトレーニングは半端じゃなく積んでいらっしゃるだろうということです。
そう考えると、この病は、患者さんによって出方も状態も全く違う本当にやっかいで不可解な病だと思います。
私自身も、よりによって、自分が一番自信があると思っていたところになんで出るわけ?
と、そこの部分に一番腹が立ちました。
で、ここからは私の勝手な想像なんですが…
得意だと思っていることは、それを確実にするために、
苦手なことは、それを回避するために、
検証と称して余計な神経回路を一個作ってしまったのでは。
たとえば、私は、ナレーションの仕事で、
反対語や似た言葉が出てくると、読み違いする確率がぐんと増えます。
右と左、上と下、縦と横、東と西…
建設と建築、制作と作成、論理と理論、議論と論議、記述と記載、認証と承認…
読み違いが結構多いので、何故だろうと考えてみました。
多分、その言葉に対し声にする前のコンマ何秒かの間に、頭の中で、万全を期して(かどうかはわかりませんが)
読み違えの可能性のある言葉をわざわざ一度引き出して、『これは違うからね』という確認作業をしたいのではないでしょうか。
で、確認作業中になぜか違う方を選んでしまう…という残念な結果。
これは、スランプのアスリートにも結構あることではないでしょうか。
悪い状態を一度確認して、『これじゃないからね』としたいのに、なぜか悪い回路がつながってしまう。
ちょっとそれてしまいますが、浅田真央選手のスランプも、慎重になればなるほど、悪い状態を分析すればするほど、
余計な神経回路が一個つながって、それがかえって邪魔している気がします。
その回路を、必要に応じて繋いだり切ったりできるのが一流のアスリートなのでしょう。
そういう意味で、彼女にとっては正念場だと思います。
ドキドキしながら応援しています。
浅田真央選手と比べるのは大それたことですが、
私にも、得意なことであればあるほど、それを確実にしようとして余計なことをしてしまう的なことが起こっているような気がします。
なので、これはもうコツコツ神経を教育していくことが大切だと思うのです。
わざわざそっち行かなくていいから。
こっちの近道しようね。そう、近道だと思うんですよ。そして楽な道。
多分そうなんだと思います。
今日は、
④内喉頭筋、外喉頭筋の促通について
内喉頭筋は、喉頭(声帯を容れているところ)の内側の筋肉で、
声帯を開く、閉じる。
裏声を作る、地声を作る(音の高低を作る)などの働きをします。
外喉頭筋は、喉頭の外側の筋肉で、
喉頭(喉仏と考えてもいいと思います)を上へ引き上げたり、下へ引き下げたりして、
音の高低を作る。
共鳴腔を変化させて、喉をつめた声、開いた声を作るなどの働きをします。
SDのタイプは、『内転性』『外転性』とその混合型に分類されているので、閉鎖筋、もしくは開大筋の過緊張は、SDの最大の特徴であると思いますが、
実際の患者さんの発声を聴いたり、また私自身の体験から、
喉頭の動きや地声・裏声の使い方にも偏りがあると感じます。
クラニオ・セイクラルワーク(頭蓋仙骨療法)の時も少し触れましたが、
私の場合は、喉頭が引き下げられた位置で固まっていることに気付き、一時期は指で喉頭を支えて発声したりしました。
声が響かずスカスカした発声に悩まされていた時だったので、もしかしたら喉頭を指で支えることで
閉鎖筋が働きやすい状態を作っていたのかもしれません。
また、喉頭周りの神経の促通を目的としてボイストレーニングを始めた時に、
地声と裏声がうまくつなげずに、クッと詰まった時の感覚や、
地声をうまく長音で出せずに、ブレーキとアクセルが同時にかかるように、ガ、ガ、ガ、ガと震える音が出たりする感覚は、症状のひどい時の感覚とよく似ていたので、
状態を再現して、悪い感覚を一つづつ潰していく意味で、このトレーニングはとても有効でした。
このトレーニングプラス身体の使い方のイメージトレーニングが、いい状態を再現できる回数を増やしていきました。
ということで、次回は、『伸筋で声を出す』です。
ところで、今回の④で、正直言ってとても気になっていることが一つあります。
それは、お問い合わせいただいたSDの患者さんを含め、患者さんに声楽家の方が何人かいらっしゃいます。
そういう方は、たぶんこのようなトレーニングは半端じゃなく積んでいらっしゃるだろうということです。
そう考えると、この病は、患者さんによって出方も状態も全く違う本当にやっかいで不可解な病だと思います。
私自身も、よりによって、自分が一番自信があると思っていたところになんで出るわけ?
と、そこの部分に一番腹が立ちました。
で、ここからは私の勝手な想像なんですが…
得意だと思っていることは、それを確実にするために、
苦手なことは、それを回避するために、
検証と称して余計な神経回路を一個作ってしまったのでは。
たとえば、私は、ナレーションの仕事で、
反対語や似た言葉が出てくると、読み違いする確率がぐんと増えます。
右と左、上と下、縦と横、東と西…
建設と建築、制作と作成、論理と理論、議論と論議、記述と記載、認証と承認…
読み違いが結構多いので、何故だろうと考えてみました。
多分、その言葉に対し声にする前のコンマ何秒かの間に、頭の中で、万全を期して(かどうかはわかりませんが)
読み違えの可能性のある言葉をわざわざ一度引き出して、『これは違うからね』という確認作業をしたいのではないでしょうか。
で、確認作業中になぜか違う方を選んでしまう…という残念な結果。
これは、スランプのアスリートにも結構あることではないでしょうか。
悪い状態を一度確認して、『これじゃないからね』としたいのに、なぜか悪い回路がつながってしまう。
ちょっとそれてしまいますが、浅田真央選手のスランプも、慎重になればなるほど、悪い状態を分析すればするほど、
余計な神経回路が一個つながって、それがかえって邪魔している気がします。
その回路を、必要に応じて繋いだり切ったりできるのが一流のアスリートなのでしょう。
そういう意味で、彼女にとっては正念場だと思います。
ドキドキしながら応援しています。
浅田真央選手と比べるのは大それたことですが、
私にも、得意なことであればあるほど、それを確実にしようとして余計なことをしてしまう的なことが起こっているような気がします。
なので、これはもうコツコツ神経を教育していくことが大切だと思うのです。
わざわざそっち行かなくていいから。
こっちの近道しようね。そう、近道だと思うんですよ。そして楽な道。
多分そうなんだと思います。
by satomi117h
| 2013-01-19 03:36
| 痙攣性発声障害の治療
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