確か…ヒュウガ・ウィルス…
2009年 05月 21日
連日メディアを騒がす新型インフルエンザのニュースを見ていて、
ふと、大昔に読んだ村上龍の小説『ヒュウガ・ウィルス』を思い出しました。
日本のあるところに恐ろしい感染症が発生し死体の山が築かれる。
ウィルスは拡大を続け、街が次々に壊滅状態になっていく。
ウィルスをたたく有効な手段も見つけられないなか、
感染を免れたり、感染しても回復するものがほんの数名いた。
優秀な兵士、目の見えない男の子…。
彼らはどうしてウィルスに勝つことができたのか。
感染した兵士は、なんとかという、自分たち独自で開発した麻薬で
死の淵から帰還する。
目の見えない少年は、
まだ目が見える時に、
見えなくなった時の恐怖から逃れるために
バレエ曲を聞きながら、その情景を精密な点描画で埋めるように
事細かに瞼の奥に刻むことをした。
バレリーナの表情、周りの情景、周りの人々、音楽の展開…
暗闇の世界でも、その情景を鮮やかに再現できるように。
ヒュウガ・ウィルスとの戦いに勝った者には、共通のものがあるらしい。
それは…
ものすごい危機に直面した時、
その危機感をエネルギーに変える作業をしてきたものだけが産生することができる
ある種の免疫系が働く。
主人公の女性は、ある時ヒュウガ・ウィルスに感染していることを知る。
自分は、圧倒的な危機感をエネルギーに変えることをしてきたのだろうか。
そのことをこれから試される…
そんなストーリー。
小説の中では、リゾート地とスラム街に住む人たちが
あっという間にやられてしまいます。
危機感の希薄な人たち、そして生きがいが持てない人たち
そんな人たちの免疫系の弱さを象徴したのでしょうか。
今回は、若年層、高校生の感染が圧倒的に多いと聞きます。
単なる特有の行動からくるものなのか、
それともなにか理由があるのでしょうか。
いろんな意味で社会の脆弱さを反映する事態にならなければいいのだけれど…。
by satomi117h
| 2009-05-21 01:25
| 今日のとぱーずむ~ん
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