ジストニア(咬筋)
2014年 09月 24日
ジストニア(咬筋)の治療を継続中です。
患者さんの許可を得て、掲載します。
【背景・現病歴】
37歳。男性。役者。
舞台やアミューズメント施設での芝居、声の出演などの活動をおこなっている。
2011年の夏、声の出演の仕事で、特定の言葉が言いにくく違和感を感じたのが始まり。
咬筋だけではなく、口輪筋や、胸鎖乳突筋などの首周りの筋肉も強張り、
口が歪んだり、首ののけぞりや片側に曲がるなどの動きが頻繁に出ることもあった。
ひどい時には歯の噛み締めがきつく奥歯が欠けたことも。
口の周りの強張りが出ると、正中がどこなのかどっちに歪んでいるのか、自分の感覚が不明になることも。
病院を受診し、咬筋のジストニアとの診断を受け、ボトックス注射を勧められたが、
あまり気が進まずほかの治療法を模索している。
【来院時の状態】
一頃ほどの激しい噛み締めや、歯ぎしりの音をマイクが拾ってしまうほどのひどい症状はなくなったが、
状態を観察すると、口の周りや頬、舌などにいつもうっすら強張りがある。
激しい症状は、特に仕事中によく出ると感じていたが、
リラックスした飲み会や自宅でくつろいでいる時などにも、中程度の強張りや一瞬の噛み締めが出ることもあり、
ストレスとはあまり関係ないようなきがする。
アレクサンダーテクニックを続けている(発症前から)
症状のことがいつも頭にあり、自分本来のパフォーマンスができないもどかしさと、
今後の仕事への不安がある。
季肋部、腹部の強張り。
腹部の冷え、胃腸障害の訴えあり。
【治療内容と経過】
2014年2月から継続中。
2014年9月までに17回。
腹部、手足の冷えの解消、肝臓や胃の自動力をつける、
その日の状態をみながら必要な臓腑と経絡にアプローチなどの本治法。
顔面や頸部、口腔内、デコルテなどの筋膜リリース、
手法は、鍼、お灸(特にネパール棒灸)、手技。
特に、咬筋は、頭蓋仙骨療法(クラニオ)で、骨の動きに同調し内側から緊張を解いていくことをした。
また、顔面のこわばりは、本人の訴えと、直接触れて筋膜の動く方向を確認することでリリースしていった。
頭蓋仙骨療法(クラニオ)は毎回入れたが、3回に1回ぐらいは、時間を割くフルセッションとし、
スティルポイントに入ることで、自己調整力を高め、脳や神経を滋養し、正しい促通がなされることを念頭に行った。
日によって、鍼とクラニオの組み合わせ、もしくは鍼とネパール棒灸の組み合わせを試したが、
顔面に関しては、若干鍼との組み合わせの方が効果的だったような印象がある。
治療後は、概ね良好な状態。
ピタッと症状がなくなる時もあれば、ぼんやりと強張りが残ることも。
生活の中での注意として、
咬筋に強張りが出たときは、筋腹を寄せて、他動的に咬筋をたるませる方向に持っていくこと。
また、首や肩の強張りで、動きが出てきた時は、
止めようとしないで動きたい方向に開放してあげることを伝える。
どこかのタイミングで、ぐっと良くなったというわけではないが、徐々に気にする時間が少なくなっている。
治療中に、芝居の稽古と公演の期間が有り、
また声のサンプルを録るという初めての経験が有り、最中に何度か症状が出たが、
コントロールできる範疇だった。
【補足】
一番ひどい状態の時を一人で乗り切ってこられました。
お仕事のブースで、噛み締め状態で口を開こうとすればするほど固く噛み締める方向でロックし、
そのままでセリフを言うことも、何度もあったそうです。
座り方や身体の動かし方や、声を発するタイミングやいろんなことを工夫して、なんとか喋れるように研究なさったそうです。
思い通りに身体が動いてくれて、それが前提の自分自身の表現なのに、
身体のコントロールに自体に多くのエネルギーを費やさざるを得ないもどかしさや理不尽さ。
それが職業としている場で起こる。
職業性ジストニアならではの辛さです。
私の治療室にいらした時には、大変な時期を過ぎていました。
ほんとによくお一人で頑張っていらしたなぁと感心しました。
ご自分をよく観察していらして、時々、症状が、もはやお友達のようなニュアンスの言い方をなさる時もあり、
その明るさに、私のほうが励まされるようです。
いい方向なので、このまま消失してくれればいいのですが、
けいれん性発声障害の治療と合わせて、これからも経過をみせていただきながら、
私ができる治療法を研究していきたいと思います。
患者さんの許可を得て、掲載します。
【背景・現病歴】
37歳。男性。役者。
舞台やアミューズメント施設での芝居、声の出演などの活動をおこなっている。
2011年の夏、声の出演の仕事で、特定の言葉が言いにくく違和感を感じたのが始まり。
咬筋だけではなく、口輪筋や、胸鎖乳突筋などの首周りの筋肉も強張り、
口が歪んだり、首ののけぞりや片側に曲がるなどの動きが頻繁に出ることもあった。
ひどい時には歯の噛み締めがきつく奥歯が欠けたことも。
口の周りの強張りが出ると、正中がどこなのかどっちに歪んでいるのか、自分の感覚が不明になることも。
病院を受診し、咬筋のジストニアとの診断を受け、ボトックス注射を勧められたが、
あまり気が進まずほかの治療法を模索している。
【来院時の状態】
一頃ほどの激しい噛み締めや、歯ぎしりの音をマイクが拾ってしまうほどのひどい症状はなくなったが、
状態を観察すると、口の周りや頬、舌などにいつもうっすら強張りがある。
激しい症状は、特に仕事中によく出ると感じていたが、
リラックスした飲み会や自宅でくつろいでいる時などにも、中程度の強張りや一瞬の噛み締めが出ることもあり、
ストレスとはあまり関係ないようなきがする。
アレクサンダーテクニックを続けている(発症前から)
症状のことがいつも頭にあり、自分本来のパフォーマンスができないもどかしさと、
今後の仕事への不安がある。
季肋部、腹部の強張り。
腹部の冷え、胃腸障害の訴えあり。
【治療内容と経過】
2014年2月から継続中。
2014年9月までに17回。
腹部、手足の冷えの解消、肝臓や胃の自動力をつける、
その日の状態をみながら必要な臓腑と経絡にアプローチなどの本治法。
顔面や頸部、口腔内、デコルテなどの筋膜リリース、
手法は、鍼、お灸(特にネパール棒灸)、手技。
特に、咬筋は、頭蓋仙骨療法(クラニオ)で、骨の動きに同調し内側から緊張を解いていくことをした。
また、顔面のこわばりは、本人の訴えと、直接触れて筋膜の動く方向を確認することでリリースしていった。
頭蓋仙骨療法(クラニオ)は毎回入れたが、3回に1回ぐらいは、時間を割くフルセッションとし、
スティルポイントに入ることで、自己調整力を高め、脳や神経を滋養し、正しい促通がなされることを念頭に行った。
日によって、鍼とクラニオの組み合わせ、もしくは鍼とネパール棒灸の組み合わせを試したが、
顔面に関しては、若干鍼との組み合わせの方が効果的だったような印象がある。
治療後は、概ね良好な状態。
ピタッと症状がなくなる時もあれば、ぼんやりと強張りが残ることも。
生活の中での注意として、
咬筋に強張りが出たときは、筋腹を寄せて、他動的に咬筋をたるませる方向に持っていくこと。
また、首や肩の強張りで、動きが出てきた時は、
止めようとしないで動きたい方向に開放してあげることを伝える。
どこかのタイミングで、ぐっと良くなったというわけではないが、徐々に気にする時間が少なくなっている。
治療中に、芝居の稽古と公演の期間が有り、
また声のサンプルを録るという初めての経験が有り、最中に何度か症状が出たが、
コントロールできる範疇だった。
【補足】
一番ひどい状態の時を一人で乗り切ってこられました。
お仕事のブースで、噛み締め状態で口を開こうとすればするほど固く噛み締める方向でロックし、
そのままでセリフを言うことも、何度もあったそうです。
座り方や身体の動かし方や、声を発するタイミングやいろんなことを工夫して、なんとか喋れるように研究なさったそうです。
思い通りに身体が動いてくれて、それが前提の自分自身の表現なのに、
身体のコントロールに自体に多くのエネルギーを費やさざるを得ないもどかしさや理不尽さ。
それが職業としている場で起こる。
職業性ジストニアならではの辛さです。
私の治療室にいらした時には、大変な時期を過ぎていました。
ほんとによくお一人で頑張っていらしたなぁと感心しました。
ご自分をよく観察していらして、時々、症状が、もはやお友達のようなニュアンスの言い方をなさる時もあり、
その明るさに、私のほうが励まされるようです。
いい方向なので、このまま消失してくれればいいのですが、
けいれん性発声障害の治療と合わせて、これからも経過をみせていただきながら、
私ができる治療法を研究していきたいと思います。
by satomi117h
| 2014-09-24 18:56
| 症例報告
|
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