声のお仕事、身体のお仕事と心地よいライフスタイルを追求します(*^o^*)


by satomi117h
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来宮良子さんの訃報に際して

WEBで、来宮良子さんが亡くなったとのニュースを目にし、とてもショックを受けています。
あの存在感のある声がもう聴けないと思うと、なんだか心に穴があいたようにさみしい気持ちになります。

多くの表現者が活躍する中で、来宮さんは別格です。
声自体、技術や独自の表現、この世界のパイオニアとしても、どこを切り取っても別格で特別な方だと思います。



俳協にいた頃、一度だけ現場でご一緒させていただいたことがありました。
プラネタリウムのプログラムで、来宮さんは、ギリシャ神話の語りを担当なさいました。

音楽も映像も何もない状態で、一度、通しのテストが始まりました。
来宮さんが、ブースに入られて最初の一言を発した途端、
それまで、スタッフやクライアントでザワザワしていたスタジオの空気が、さっと変わりました。

呼吸も瞬きも忘れたように、誰もが固唾を呑んでその場に引き込まれていくのを感じました。
多分、15分ほどのプログラムです。
終わった瞬間に、フッとみんなの呼吸が戻りました。
部屋の空気が緩んで、現実が戻ってきました。

そして、まるでどこか遠いところを旅してきたような感覚に陥りました。
大げさですが、その部屋の質感が変わり、スタジオ自体がタイムマシンか宇宙船になり、
そこに居合わせた人たちと一緒に、完全にどこかに行っていました。

その時、プロ歴、多分10年ぐらいの私は、感動に震えました。
たった15分、音楽も映像もない声だけの表現で、異次元を体験したのです。

あの時の静謐さの感覚は、それ以来、私の宝物になり道標になり目標になりました。
今まで体験した表現で一番は?と聞かれたら、私は何のためらいもなくあの時の来宮さんと答えます。

そして、及ばずながら自分もそれを目指して、またそういうところに連れて行ってくれる表現者に出会えることを楽しみに、
いまだにこの世界をウロウロしているのかなぁと…

来宮さんは、私に表現者観みたいなものを提示してくれた心の恩人です。
ご冥福をお祈りいたします。
by satomi117h | 2013-12-05 17:35 | 今日のとぱーずむ~ん | Comments(0)